血管を診る(循環器内科)

血管を診る(循環器内科)

糖尿病と血管障害

1977年から99年までに当院通院中に亡くなられた患者さん全て(約1,000例)の死因を調べたところ、実に4割が大血管疾患(脳梗塞・心筋梗塞)によるものでした。以降、当院では患者さんの血管診断体制を強化してまいりました。
CTを導入した2008年から1,400人を超える患者さんの血管診断を行っていますが、7割超の患者さんに血管の軽度狭窄があり、ほとんどの患者さんにプラークや石灰化病変など何らかの血管障害があることがわかっています。

2型糖尿病患者の死因
2型糖尿病患者の死因

血管診断

高血糖を長く放置すると、動脈硬化が早く進行します。このため、糖尿病がある方は、10歳から20歳くらい血管年齢が上がり、心臓・血管合併症が高率に発生します。また、神経障害で自覚機能が低下するために、無症候のまま血管障害が発生し、脳梗塞・心筋梗塞に至ることが少なくありません。
陣内病院では、無症候で進行する血管障害をより早期に検出し、血管病変の診断と血管機能を評価する体制を整え、循環器専門医の指導のもと、糖尿病患者さんの心筋梗塞、脳梗塞、心不全の発症予防と治療を行っています。

杉山Drの診察風景

冠動脈CT

東芝メディカル Aquilion TSX-101A/QA

東芝メディカル Aquilion TSX-101A/QA

脳血管MRA、下肢動脈MRA

SIEMENS 1.5T MRI Synphny

SIEMENS 1.5T MRI Synphny

心エコー

東芝 Aplio400

東芝 Aplio400

ABI(足関節上腕血圧比)

オムロンコーリン form ABI/PWV CT-250

オムロンコーリン form ABI/PWV CT-250

頸動脈エコー

東島津メディカル SDU-1200

島津メディカル SDU-1200

血管内皮機能測定(RH-PAT検査)

itamar medical Endo-PAT 2000

itamar medical Endo-PAT 2000

健康長寿の秘訣は血管内皮機能にある

当院では、血管病診断にあたって、EndoPAT2000を用いた血管内皮機能検査(RH-PAT検査)を行っています。
血管内皮は、血管の内側の膜を構成する薄い細胞の層で、心臓から毛細血管に至るまで全ての循環器系の内壁に並んでいます。この血管内皮の細胞が一酸化窒素(NO)を産生・放出し、血管の収縮や拡張をコントロールしたり、血栓が形成されるのを防ぐバリアとして機能するなど、血圧や血液の流れを最適な状態に調整する重要な役割を果たしています。

血管内皮細胞の表面積を全身分合わせるとテニスコート約27面分の広さとなります。そのほとんどは毛細血管などの細かい血管で、身体の隅々に網の目のように張り巡らされ、全身の細胞に酸素や栄養素を運んでいます。したがって、全身の健康を良好に保つためには、この細かい血管の内皮機能を良好に保つことが重要になってきます。

血管内皮細胞の写真

血管内皮細胞

当院では、血管内皮機能検査(RH-PAT検査)をもとにした、
血管病診断・治療を行っています

血管内皮機能の低下は、動脈硬化が起こる前から始まっていますので、これを検査することでより早期に治療を開始することができます。また、動脈硬化が進行し、既に大きな血管にプラークや石灰化病変がある方においても、細かい血管の血管内皮機能を良好に保つことで、心筋梗塞や脳梗塞などの発症や死亡のリスクを減らすことが可能です。

血管内皮機能は、生活習慣の改善やお薬で良くすることができます。逆に言えば、血管内皮機能によって、いま行っている食事療法や運動療法がうまくいっているかどうかを知ることができるのです。
当院では、血管内皮機能検査(RH-PAT検査)で、細かい血管の内皮機能を診断し、現在行っている治療(食事・運動・薬物)の効果を評価した上で、全身トータルでの治療方針を組み立て、心臓・血管合併症を起こさない治療に力を入れ、健康長寿の実現を目指しています。

EndoPAT2000の写真

両手の指にこのようなプローブを付け、横になっていただくだけ。検査にあたって痛みはありません。